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調味料 「醤」 5

2007年12月14日

  中国で生まれ、そして進化しながら「醤」は多くの国に伝わりそして独自の食文化を築きあげてきた。中でも魚醤についてはアジアを中心に様々な国が様々な材料でそれを作り、そして料理に取り入れて今日にいたる。

 聞きなれたところではタイのナンプラーやベトナムのニョクマムといったところだろう。タイやベトナムのみならず、インドネシア、マレーシア、ミャンマーなどをはじめ、古代ローマや古代ギリシァでも魚醤を作っていた。材料もオキアミや鯖やいわしの小魚を使ったものなど種類も様々。古代ローマではカタクチイワシの内臓を使用していたのだそうだ。カタクチイワシと言えば、それを塩漬けにして発酵熟成させたものがアンチョビと呼ばれイタリアンブームとともに日本にもすっかり定着している。アンチョビこそ液体になるまえの「醤」ではないか!
  
 そして忘れてはならないのが日本の魚醤「しょっつる」「いしる」「いかなご醤油」である。これらは日本の三大魚醤と呼ばれている。魚醤は魚を発酵するだけに、やはり独特の臭みを放つ。植物性の食材を使用したものに比べ、動物性の食材に由来したものについては経験がないまでもその製造工程での匂いは何となく想像がつく。それを超えて完成にいたり、ここまで各国で使用されている魚醤を、初めて作りそして味をみた人々には頭の下がる思いである。

 さて、日本の三大魚醤のうち「しょっつる」について触れたい。しょっつるは「塩汁」とも「塩魚汁」とも書く。しょっつるには秋田沖で獲れる「はたはた」を使用する。1970年代までは大漁だったためとても安価で各家庭では箱買いが当たり前。別名「猫またぎ」とよばれるほど猫も顔をそむけるいつもの魚だったのである。それが1980年代に入り突如収穫量が減り、たちまち高級魚となってしまった。そんなはたはたではあるが、大漁にとれた頃、秋田での雪深い冬を越すための家庭での常備食として、数々の方法で保存されていた。しょっつるもまたそうした先人の知恵が生み出した業の逸品なのだろう。

 塩分を加え、熟成させていくことで魚のうまみが溶け出し、美しい褐色の液体へと変化を遂げる。エスニック料理が身近になったことで、気軽に手にできるようになったナンプラーやニョクマム。しかし、日本にも誇れる魚醤があることを忘れないでいて欲しい。