デザートをフランスでは『デセール』と呼ぶ。
その響きがすでに芸術的だと感じるのは私だけだろうか。
会場で一際人が集まっているのは、特設会場のイートインコーナーの脇にこれまた特設されたガラス張りのオープンキッチン前。’97年に行われたクープ ド フランス世界大会で日本人初の総合優勝を果たすなど、数々の権威ある賞に輝くアテスウェイ(東京女子大前にあるスィーツのお店)の川村氏がフランスの<ル グランドテル デ テルム・サンマロ>のシェフパティシエ、パスカルポション氏とのコラボレーションをするという。
<ル グランドテル デ テルム・サンマロ>と<アテスウェイ>が創り出すデセールは柔らかいキャラメルのアイスクリームをノワゼットチュイルで挟んだもの。白いデザート皿をキャンバスに、描かれていくキャラメルソースの線が美しく重なっていく。中央にはアイスクリームを挟んだチュイルがミルフィーユ仕立てに置かれ、さらに怒涛のデセールのテクニックが続く。
チュイルのトップにはツヤが光るチョコレートのムースが。パティシエのパスカルポション氏がスプーンを使って丸くチョコレートムースを形づくるのだが、なかなか納得のいく状態に仕上がらないらしい。何度も何度もやり直す。冷蔵庫から取り出した後一定の時間が経過すると柔らかさが変わり、これまた形が決まらない状態になるので、そこからやり直す。
チョコレートムースが決まらないと次にその上に乗せるボンボンやフルーツ、飾り用に最後に乗せるチョコレート細工も冷蔵庫から取り出せない。一度取り出してはみたが、スタッフがまた戻し、タイミングを図っていた。
たった一皿のデセールに、幾人もの神経が集中する。その空気はガラス越しに見ているこちら側も緊張してしまうほど。プロのテクニックに魅せられて口にするデセールはまさに食べる芸術作品なのだということを目の当たりにできた貴重な体験である。
数々の食や文化に触れるフランス展。ワインの試飲でほろ酔い気分ながらも本場のマルシェさながらの豊富な野菜や熟成された食材、そして目の前で見たデセールのテクニックなど、フランスという食の大国の『技』に圧倒された体験であった。
- 投稿者: 住と食を学ぶ 日時: 2008年05月13日 12:34 | パーマリンク
