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ラジオは、電気を抜きにして語れず

 前節では「テレビジョンはラジオを抜きにして語れず」を述べたが、ラジオを理解するには、放送番組内容を理解しても全く役に立たず、むしろ「電気」「磁気」「物理」といった、科学的な基礎を理解しないと、全く先に進まない。
 とはいえ、中学校や高等学校で習うレベルの知識で何とかなるのだが、学校でやる授業というのは、詰め込み&受験対策優先で、本質の面白さを伝えることに欠ける。

 ラジオにも歴史的な背景から、色々なものがある。
 ここでは、中波AMラジオを受信する、鉱石ラジオ(ゲルマラジオ)を出発点にして、様々な科学的観点で探っていくことにする。だが、出発する前に、どうしても必要な基礎知識がある。なので、一番最初は「電気」を知ることから始める。

 「電気」「磁気」「物理」の3分野で最も重要でウェイトが高いのが「電気」である。
 電気といっても、ラジオを語る上ではコンセントから発電所側はあまり関与しない。コンセントの電気以外では、乾電池くらいしか関与しない。
 電気関係の先輩技術者の中には、コンセントから発電所側を「強電(きょうでん)」、宅内側(部屋側)を「弱電(じゃくでん)」と言って区別する人もいる。ラジオをはじめとする家電製品は殆ど「弱電」の分野であり、「強電」の技術はそれほど熟知を必要としないため、区別することが有益だからである。

 さて、この「弱電」という言葉であるが、別名は「電子工学」であり、外国では、「電子工学」に該当する直訳として、「エレクトロニクス(electronics)」と言われる。「エレクトロニクス」ならどこかで聞いた事がある人がいると思う。
 「エレクトロニクス」に似た言葉に「エレクトロン」「エレクトロニカ」というものがあるが、やはり「電気」を意味する言葉である。
 更にそれらの言葉の語源がギリシャ語の「エレクトリカ」と言われている。
「エレクトリカ」は宝石の1つに数えられる「琥珀(こはく)」を意味する言葉である。
琥珀を磨くために布で擦ると、却って小さなごみなどを引き寄せてしまう現象が紀元前の時代から知られており、その現象を「琥珀の力」という意味で、1600年に、イギリスの研究者、ギルバートなる人物が「磁石について」という著書の中で著して、広めた言葉が「エレクトリカ」である。
1600年といえば、日本では「関が原の合戦」に代表される内戦状態だった頃である。
 そして、この頃から電気や磁気に関する研究が盛んになっていき、19世紀後半から20世紀にかけて実を結ぶのである。

 この「ギルバート」なる人物は、イギリスのエリザベス女王の侍医としても知られている。
日本の天皇陛下にも侍医はいるので、それと同じ立場の人物ということになる。
 今日では、「琥珀の力」は、静電気によるものということが知られており、琥珀だけでなく、水晶やプラスチックなどにも同じ現象が起きる事が現代では常識として知られている。

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